多くのプロゴルファーにクラブを供給して、パフォーマンスのいい製品を次々と世に出してきたタイトリスト。
現在、アメリカPGAでは、マックス・ホーマやブライアンハーマン、日本のJPGAでは幡地 隆寛やブラッド ケネディ、JLPGAでは菊池絵理香などが同社のクラブを使用しています。
このようにタイトリストは、一流プロたちの意見をゴルフクラブ製作に反映させてきました。
2023年12月現在、タイトリスト社のドライバーとしては、2022年9月に発売されたTSR2、TSR3、TSR4、2023年2月に発売されたTSR1の4種類のTSRシリーズがあり、プロ・アマを問わず、多くのゴルファーに使われています。
この記事では、ヘッドの空力性能の向上などから、飛距離性能のアップを実現させているタイトリストドライバーの中から、
- 現行モデルのTSRシリーズ
- 先代モデルのTSIシリーズ
の違いについて、詳しく解説していきます。
それぞれの違いを表で確認したい人はこちらへ(記事下に移動します)。
タイトリストTSi、TSRの違いを比較してみた
前述のように、TSRが現行モデルであるのに対して、TSIは先代モデルという位置づけになります。先代モデルであるTSIの性能を引く次ぎつつ、より性能をアップさせたのがTSRということになります
この点から、例えば、タイトリスト社の著名な2つのボールであるProV1とProV1Xの関係のように性能が異なる併売モデルではありません。
また、TSI、TSRともに、それぞれ性格の異なる1~4までのモデル(例えば、TSI1やTSR3など)があり、ゴルファーの腕前や好みに対応できる展開をしています。基本的には1が最も優しいクラブで2、3、4と数字が上がるにつれて難しくなる傾向があります。
これらを考慮したうえで、TSRとTSIのちがいを比較すると、以下の点が異なります。
- 発売時期と価格
- 各モデルの特徴
詳しく見ていきましょう!
違い①:発売時期と価格
タイトリストのドライバーTSRシリーズは、好評だったTSIシリーズを継承したモデルであるため、TSIシリーズとTSRシリーズでは当然ながら発売時期が異なります。
TSIシリーズのうち、TSI2とTSI3は2020年11月に発売され、TSI1とTSI4は2021年3月に発売されています。
一方、後継モデルであるTSRシリーズは、TSR2とTSR3、TSR4が2022年3月、TSR1は2023年2月に発売されています。
そのため、現在は中古の商品しかないTSIシリーズと、現行モデルのTSRシリーズでは、クラブの価格面での差が生じることになります。
前モデルと現行モデルでは、発売時期が違うため、同じ系列、例えばTSI2とTSR2ではクラブの値段が違うことになりますね!
違い②:TSI1から進化したTSR1の構造と技術
多くのメーカーが、カーボンクラウンを採用したり、一部のメーカーではカーボンフェースを使用しているなど、カーボンの時代に入ってきている中で、タイトリストはフルチタン構造にこだわり、同社独自のチタン素材であるATI425を採用しています。
TSR1では新たにマルチプラトーVFTデザインが採用されています。
この技術は、フェース内側の厚差を精密に設計・加工することで、高い反発力をフェイスの広い範囲で実現できています。
いわゆる芯で当たらなくても、ヘッドの許容性でボールスピードを上げ、飛びや正確性につながる構造になっています。
また、TSR1では、新しい重心設計が行われています。より深く、より低い重心をヘッドに施していくことで、速い初速と高い打ち出し角を生み出しています。
より遠くに飛ぶこと、確実にヒットできるような設計になっています。
振りやすいライトウェイト設計が進化していますね!
違い③:TSI2から進化したTSR2の構造と技術
TSR2では、TSI2からヘッドの形状が変化しています。
TSR2ではヘッドスピードを上げるための新しい形状が開発されています。
これは、ヘッドスピードが上がることが飛距離アップにつながるというタイトリスト社の考え方にもとづいた進化です。
さらに、トゥ側の形状を再設計して、アドレス時のフェースの見え方をゴルファー好みのデザインにしているようです。
写真をよく見てみると、ヘッドの後ろ(トレーリングエッジ)の丸み形状に違いがあります。
次に、TSR1と同様の効果が得ることができるマルチプラトーVFTデザインが採用されています。
オリジナルシャフトがTSI2とTSR2では変わってきています。
TSR2に新しく採用されたTSP111は、先端周辺がやわらかく、ボールの捕まりが良いシャフトで、TSP310は、中央部位をやわらかくして、シャフト全体で加速感が得られるシャフトになっています。
ヘッドやシャフトの形状の変化によって、クラブのスピード性能のアップと弾道の安定性を追求しています。
また、奥のゴルファーが求める美しく安心感があるヘッド形状になっています。結果として、飛距離と許容性のバランスがとれたクラブに仕上がり、ティショットのパフォーマンスが向上しています。
よりスピードが上がり、より確実にヒットできるクラブに進化していますね!
違い④:TSI3から進化したTSR3の構造と技術
TSI3は、PGAツアーで多く使用されていたドライバーの一つで、その見た目が良いと形状面が評価されています。
TSR3は評価が高かったTSI3の形状に似て形で開発されています。
TSR3にはスピードリングVFTテクノロジーが採用されています。
円錐形の可変フェースを採用することによって、スピードの中心点に最大の反発値を集中させるという構造です。
また、TSR3には、弾道調整システムのSureFit CG トラックが採用されています。
ただし、この技術はTSI3にも採用されていました。
クラブのウェイトをネジの操作だけで、簡単に変えることができる仕組みです。
この技術で、打点のバラツキを抑えることができ、スピードとパフォーマンスの両立が発揮できるクラブに仕上がっています。
オリジナルのシャフトについてはTSR2と同じシャフトが採用されています。
TSI3の時から完成度が高かったモデルでしたが、より、スピード向上とパフォーマンスが発揮できるクラブに進化していますね!
違い⑤:TSI4から進化したTSR4の構造と技術
TSI4は、ヘッド体積が430CCというスペックで、当時はタイトリストのセレクトストアでしか買えなかった製品で、ヘッド単体の販売になっていました。
まず、クラブフィッテングを受けてから、シャフトを選ぶというスタイルでの購入でありました。
しかし、TSR4になり、他のモデルと同様に通常の形態で購入ができるようになっています。
TSR4になって大きく変化したのは、ウェイトの調整機能が付いたところです。
ソールの前後にある2つのウェイトを調整することで低スピンで飛距離を伸ばせるような設計が行われています。
また、他のクラブと同様にマルチプラトーVFTデザインが採用されています。
これらの仕組みの導入によって、TSR4は適切なスピンコントロールによる飛距離アップが可能になっています。
ソールにある2箇所のウェイト調整によって、最適なスピンコントロールが可能になりました。
進化したスピード性能と弾道の最適化で、風に負けない強い弾道が打てるようです。
スピン量を3,000回転以下にキープして低スピンで飛ばせるドライバーがTSR4ですね!
TSR1を選ぶメリットは軽さ
軽量なクラブで飛ばしたい人におすすめ
TSR1の最大の特徴はクラブの重量です。TSR1は、最も重い仕様(標準仕様で)でも273gと軽量になっています。
また、他のモデルにはないロフト角12度の設定があったりと、小さいパワーでもヘッドスピードが最大化できるように工夫されています。
キャリーを伸ばして飛ばしたい非力なゴルファー、ヘッドスピードを上げることが難しいゴルファーなど、アスリートというよりはエンジョイ派向けのクラブになっています。
軽量のメリットを生かしてクラブを振り、ミスヒットに強いモデルを探しているゴルファーに向いています。
前モデルのTSI1についても、設計コンセプトである軽量化や低くて深い重心設定によって、クラブスピードの向上やより高い打ち出し性能はTSR1と同様になっています。
中古モデルで安価なモデルを選択するならTSI1、最新モデルの性能やイメージを優先するのであればTSR1という選択になると思われます。
TSR2を選ぶメリットはミスヒットに強い許容性
クラブのバランスを重視する人におすすめ
TSR2は、トゥ側の形状を見直し、フェースの見え方に工夫をしたことでTSI2に比べて構えやすくなっています。
TSR2の特徴としては、直進性と許容性のバランスが取れていることがあります。
TSI2の特徴でもあったクラブの直進性や許容性が継承されています。
打ち損じにも強い許容性と、直進性が高い飛距離性能が確保されている点が秀逸なところです。
TSR2のシャフトラインナップは、4種類のシャフト(TSP111 50、TSP310 60、TENSEI AV BLUE、Tour AD)が用意されていますが、TSR2のような本格的クラブが好みのゴルファーは、これら以外のカスタムシャフトを選択することもあると考えられます。
自分好みのシャフトにカスタマイズして、自分にとって最適なセッティングをつくり上げることも、ヘッドの性能を生かす方法の一つです。
このTSR2のヘッドが好みである、いいかえると自分の好みのヘッド形状がハッキリしているゴルファーに向いています。
また、自分の持ち球や弾道のイメージが明確で、必要に応じて好みのシャフトを選択できる人が向いている本格派のクラブです。
前モデルのTSI2についても、TSR2と同様に直進性の高さや許容性の高さが特徴になっています。
TSR2ではマルチプラトーVFTデザインの採用や、重心を低く、前方に配置していることにより、スピードのアップと、スピン性能の向上が期待できます。
許容性の高さとともに、飛距離性能も両立させている特徴があります。
しかし、元々、評価の高かったTSI2との比較では、中古モデルで安価なモデルを選択するならTSI2、最新モデルの性能やイメージを優先するのであればTSR2という選択になると思われます。
TSR3を選ぶメリットは高い次元の操作性と飛距離
高い次元の操作性と飛距離を重視する人におすすめ
PGAツアーで多くのプロゴルファーが使用してきたTSI3を継承したモデルがTSR3になります。
プロを含めて評価が高かったTSI3はヘッドの見た目が良いと形状面の印象が評価されています。
TSR3のフェイスには、スピードリングVFTテクノロジーが採用されています。
この仕組みは、TSR1、TSR2、TSR4に採用されているマルチプラトーVFTテクノロジーの考え方とは対極にあり、フェイス周辺部を厚くして、これに薄いフェースを掛け合わせることで、フェースのたわみを局所的に発生させることができています。
つまり、スピードリングVFTテクノロジーは、マルチプラトーVFTテクノロジーのように、フェース全体を均一にするのではなく、フェースセンターでインパクトするために開発されています。
これは、フェイスセンター部分でボールを打つことができる上級者が対象になっているということでもあります。
TSR3はTSR2と同様に本格的なクラブが好みのゴルファー向けのクラブです。TSR3のシャフトは、TSR2と同じく4種類のシャフト(TSP111 50、TSP310 60、TENSEI AV BLUE、Tour AD)が用意されていますが、これ以外のシャフトでカスタムすることもあると考えられます。自分好みのシャフトにカスタムして、自分にとって最適なセッティングをつくり上げることが、ヘッドの性能を生かす方法であると考えます。
TSR3は、このヘッド形状を好み、自分の持ち球のイメージが明確で、フェイスのセンターで打つことができる上級者に向いている本格派のクラブです。
元々、評価が高かったTSI3との比較では、中古モデルで安価なモデルを選択するならTSI3、最新モデルの性能やイメージを優先するのであればTSR3という選択になると思われます。
TSR4を選ぶメリットは低スピン
通常のドライバーではバックスピンがかかりすぎる上級者におすすめ
TSR4は、ドライバーショットで必要以上(概ね3000回転/分以上)のバックスピンがかかってしまうゴルファーが使うと、低スピン効果によって飛距離アップが期待できるドライバーに仕上がっています。マルチプラトーVFTデザイン採用による高い反発力、ソール前後にある2か所のウェイト調整機能によるスピン量コントロールなどの効果で、低スピンかつ直進性が優れるドライバーになっています。
TSI4の小ぶりなヘッド(430CC)はそのままの大きさにして、少しTSR3に近づいた印象のヘッド形状は、TSR3よりもシャープな顔立ちのヘッドが欲しいゴルファーにマッチします。
セレクトストアでフィッティングの後に購入できたTSI4とは違い、TSR4はオリジナルシャフトのTSP311やTOURAD DI、IZが用意されていて、クラブ完成品としても購入できるようになりました。
TSR4は、低スピンによって飛距離アップさせる構造になっていますので、アベレージゴルファーではボールが上がらないことが考えられます。
そのため、しっかりとスイングをコントロールでき、シャープな顔立ちのヘッドが好みの上級者に向いているドライバーです。
セレクトストアでフィッティングの後に購入できたTSI4は、ヘッド単品の購入になるか、他のゴルファーがカスタムした製品しか手に入れることができないため、好みのシャフトがついたモデルを探す必要がありましたが、TSR4ではオリジナルシャフトを選ぶことが可能になりました。
自分の好みのシャフトが装着された安価な中古モデルであればTSI4、最新モデルの性能やメーカ装着のシャフトでも構わないのであればTSR4という選択になると思われます。
TSI1、TSR1の口コミ・評判
TSI1とTSR1の口コミや評判を調べてみたところ、以下のような意見がありました。
TSI1の口コミ
良い口コミ
悪い口コミ
TSR1の口コミ
良い口コミ
悪い口コミ
TSI2、TSR2の口コミ・評判
TSI2とTSR2の口コミや評判を調べてみたところ、以下のような意見がありました。
TSI2の口コミ
良い口コミ
悪い口コミ
TSR2の口コミ
良い口コミ
悪い口コミ
TSI3、TSR3の口コミ・評判
TSI3とTSR3の口コミや評判を調べてみたところ、以下のような意見がありました。
TSI3の口コミ
良い口コミ
悪い口コミ
TSR3の口コミ
良い口コミ
悪い口コミ
TSI4、TSR4の口コミ・評判
TSI4とTSR4の口コミや評判を調べてみたところ、以下のような意見がありました。
TSI4の口コミ
良い口コミ
悪い口コミ
TSR4の口コミ
良い口コミ
悪い口コミ
タイトリストTSiシリーズとTSRシリーズの違いまとめ
TSIシリーズ、TSRシリーズの各モデルの違いをまとめると、以下のようになります。
TSI1 | TSR1 | TSI2 | TSR2 | |
---|---|---|---|---|
発売日 | 2021年3月19日 | 2023年2月23日 | 2020年11月13日 | 2022年9月30日 |
左用 | あり | あり | あり | あり |
ロフト角(度) | 9.0、10.0、 12.0 | 9.0、10.0、 12.0 | 9.0、10.0、 11.0 | 8.0、9.0、 10.0、11.0 |
ライ角(度) | 59.0 | 59.0 | 58.5 | 58.5 |
ヘッド素材 | ATI 425チタン | ATI 425チタン | ATI 425チタン | ATI 425チタン |
ヘッド体積(CC) | 460 | 460 | 460 | 460 |
シャフト | TSP013 45 TSP013 40 | TSP120 50 | TSP110 50 TSP322 55 TOUR AD | TSP111 50 TSP310 60 TENSEI AV BLUE Tour AD DI、IZ |
シャフト重さ(g) | TSP013 45(S) 48.5 | TSP120 50(S) 49.0 | TSP110 50(S) 46.0 | TSP111 50(S) 54 |
シャフトトルク | TSP013 45(S) 5.7 | TSP120 50(S) 5.7 | TSP110 50(S) 5.8 | TSP111 50(S) 5.5 |
シャフト調子 | TSP013 45(S) 中調子 | TSP120 50(S) 中調子 | TSP110 50(S) 中調子 | TSP111 50(S) 先中調子 |
バランス | D2 | D2 | D2 | D3 |
クラブ長さ(インチ) | 45.75 | 45.75 | 45.5 | 45.5 |
クラブ重さ(g) | TSP013 45(S) 273 | TSP120 50(S) 273 | TSP110 50(S) 301 | 305 |
価格 (税込) | TSP013 45 ¥27,390 | TSP120 50 ¥56,236 | TSP322 55 ¥41,548 | TSP310 60 ¥61,600 |
TSI3 | TSR3 | TSI4※ | TSR4 | |
---|---|---|---|---|
発売日 | 2020年11月13日 | 2022年9月30日 | 2021年3月19日 | 2022年9月30日 |
左用 | あり | あり | あり | あり |
ロフト角(度) | 8.0、9.0、10.0 | 8.0、9.0、10.0 | 8.0、9.0、10.0 | 8.0、9.0、10.0 |
ライ角(度) | 58.5 | 58.5 | 58.5 | |
ヘッド素材 | ATI 425チタン | ATI 425チタン | ATI 425チタン | ATI 425チタン |
ヘッド体積(CC) | 460 | 460 | 430 | 430 |
シャフト | TSP110 50 TSP322 55 TOUR AD | TSP111 50 TSP310 60 TENSEI AV BLUE Tour AD DI、IZ | TSP311 65 Tour AD DI | |
シャフト重さ(g) | TSP110 50(S) 46 | TSP111 50(S) 54(S) | 64(S) | |
シャフトトルク | TSP110 50(S) 5.8 | TSP111 50(S) 5.5 | 4.2 | |
シャフト調子 | TSP110 50(S) 中調子 | TSP111 50(S) 先中調子 | 中調子 | |
バランス | D2 | D3 | ー | D2 |
クラブ長さ(インチ) | 45.5 | 45.5 | 45.5 | |
クラブ重さ(g) | 301 | 304 | 318 | |
価格 (税込) | TSP110 50 ¥31,478 | TSP111 50 TSP310 60 ¥61,600 | ¥109,870 | TSP311 65 ¥70,400 |
※TSI4はカスタム専用製品のため、シャフトデータ等はありません
なお、価格は記事執筆時点のものですので、最新の値段に関しては下部にある商品のリンク先(Amazon, 楽天など)からご確認ください。
※セール期間中などは、表示価格よりもかなり安くなっていることがあります
以上のことから、ほぼ同じ性能で値段が安くて、中古モデルが気にならない人はTSIシリーズ。
少しでも最新機種で、新しい機能が多く搭載されているのが好みであればTSRシリーズを選ぶのが良いと思います。
それぞれのシリーズでは、TSI1、TSR1については、球が上がらない非力な方、エンジョイ派に向いています。
TSI2、TSR2については、飛距離、打感など、クラブ性能のバランスをとれたモデルを求める人にはおすすめです。
TSI3、TSR3については、高いレベルでの操作性と飛距離性能を求める人におすすめです。
TSI4、TSR4については、通常よりも小ぶりなヘッドが好みで、通常のドライバーではバックスピンがかかりすぎる上級者におすすめです。